舌下免疫療法について  (アレルギー性鼻炎の治療)
  
                    

アレルギー性鼻炎とは  花粉やダニなどが原因となり、鼻粘膜に生じるアレルギー反応です。アレルギーは、体の免疫機能が過剰に反応してしまう現象で1型から4型まであり、アレルギー性鼻炎は、喘息やアトピー性皮膚炎と共に1型に属します。従って、喘息の7割にアレルギー性鼻炎が、アレルギー性鼻炎の3割に喘息が合併すると言われています。アレルギー性鼻炎は、痒み、水洟、くしゃみ、鼻づまり、などの症状で、勉強や仕事への集中力が妨げられる厄介な疾患です。これに対する治療法には、

@ アレルギー反応の原因になる抗原(アレルゲン)を避ける
A 薬の内服や点鼻を続ける 
B 手術による水洟、鼻づまりのコントロール
C 免疫療法(皮下または舌下)

の4つがあります。@は、皆様が目のゴーグルや鼻のマスク、あるいは室内の清掃、窓を開けない等をしておられますね。Aがもっとも一般に行われている対処法です。Bの手術はあまり一般的ではありませんが、症例によっては効果的です。Cは、近年まで薄めた抗原を皮下注射する方法が行われていましたが(皮下免疫療法)、2014年にまずスギ、2015年にダニに対して
舌下免疫療法が始まりました。毎日、錠剤を一個、舌の下において溶かす方法で、強い副作用の心配や痛みをともなった注射に代わって、簡単で安全性が高く、治療期間は3年以上と長期を要しますが、つらいアレルギー症状や、薬の長期使用から解放される画期的な方法です。
(適応) 現在はまだスギとダニのアレルギーだけが可能であり、他のアレルゲン(抗原)に対してはまだ出来ません。従って、この治療をするには、まず医療機関で血清特異的IgE抗体検査を受けて、何によるアレルギーなのかを確認する必要があります(少量の採血で簡単に分かります)。スギ、ダニに反応があり、ほかの色々なアレルゲンがないことを確認したうえで、治療開始です。(ただしスギの場合は、花粉の飛んでいない時期に開始しなければなりません)

舌下投与 初回は、当院の診察室で口内に入れて頂き、30分間様子を拝見します。強い痒みや腫れなどの異常反応が出ていないことを確認して帰宅していただきます。その後1週間は自宅で続けて舌下投与して頂きます。この初期1週間は濃度の少し低い錠剤を使用します。それ以後の維持期は、少し濃度を上げたものを3年以上用います。初めの数週間は、口内に少し痒みが出ることがありますが、軽度であれば注意しながら続行していただき、1か月に1度、定期的に経過を観察します。

注意 この治療法で重篤な副作用が現れた、との報告はほとんどありませんが、それでもやはり
アレルギーの反応が出る心配はありますので、薬の使用方法について少々の注意が必要です。ま
た万一、強い副作用が出た場合の対処法も知っておいて頂く必要があります。これらについては、
当院のスタッフがご説明します。