病気の解説
鼓膜穿孔
(こまくせんこう)
昔に中耳炎にかかったあととか、叩かれたり耳掻きでついたあと、鼓膜に穴が残ったもの。 炎症がないので、耳漏や痛みはありませんが、聴こえは障害されています。
慢性中耳炎
(まんせいちゅうじえん)
経過が長く、痛みはありませんが耳漏(耳だれ)を繰り返し、鼓膜の穿孔と難聴があります。完治させるためには手術が必要です。
鼓室硬化症
(こしつこうかしょう)
中耳炎の後遺症で、中耳のなかの耳小骨という音を伝える装置や鼓膜の粘膜に、硝子変性やカルシュウムの沈着がおこり、動きが鈍くなるために難聴になります。鼓膜の穿孔がある場合とない場合がありますが、いずれにしても、聴力の改善の為には手術が必要です。
中耳奇形
(ちゅうじきけい)
中耳の中の耳小骨に、生まれつきの変形や離断があって、音の伝わりが悪く難聴があります。 鼓膜にはふつう異常はほとんど見られません。
中耳外傷
(ちゅうじがいしょう)
耳掻きで突いたり、頭の強打で中耳の耳小骨が外れることがあり、ときには内耳の障害をともなって強い耳鳴り、めまい、嘔吐を起こすこともあります。もちろん難聴もあります。状態が落ち着くのを待って 手術を行います。
耳硬化症
(じこうかしょう)
鼓室硬化症とは異なり、鐙(あぶみ)骨の異常による難聴です。中耳の耳小骨は3個あり、三つ目の鐙骨が内耳の入り口についていて、音を聴神経に伝えていますが、この鐙骨が固着して動かなくなる病気です。女性に多く、ゆっくり進行するので自覚が遅れ、中年頃に発見されることが多いのです。放置するとやがて内耳の障害も加わってくるので、いわゆる混合性の難聴になります。欧米人に多く、日本人には少ないと言われてきましたが、注意して診察していると、ときどき見つかります。
滲出性中耳炎
(しんしゅつせいちゅうじえん)
中耳に浸出液(膿ではありません)が溜まって聴こえが悪くなります。急性中耳炎と異なり痛みがありません。幼児・小児に多く治り難いもので、長い通院を要してお母さんたちを悩ませます。また中・高年者にも時にみられますが、溜まる液は子供とは少し異なります。いずれにしても難治の場合は、鼓膜に換気のために小さなチューブを留置する方法も用います。
中耳真珠腫
(ちゅうじしんじゅしゅ)
鼓膜の皮膚が、周囲の骨をゆっくり破壊しながら奥へ侵入してゆく危険な病気。炎症ではないので 痛みや耳漏もなく、初めは聴力もあまり悪くならないので、本人がまったく気付かないうち に進行し、かなりひどくなってから発見されることもあります。まれには先天性で幼児に見つかることもあります。進行が止まることはありませんので、診断がつけば、原則としてなるべく早期に手術をします。当院での、過去の耳の手術の統計では、約25%が真珠腫でした。
先天性耳瘻孔
(せんてんせいじろうこう)
耳の入り口の周辺に、生まれつき開いている小さい穴で、中は袋状になっています。日本人には頻度の高いもので、症状が無ければ何もする必要はありませんが、いちど炎症をおこすと繰り返す傾向があり、その場合は袋全体を摘出します。
慢性副鼻腔炎
(まんせいふくびくうえん)
鼻腔をとりまく大きな空洞を副鼻腔といい、ここの炎症が慢性化したもので、難治です。 しかし近年は、病状が昔より軽症化し、そのうえ薬物による治療でかなり良くなるケースも あるので以前ほど手術は行われなくなりました。とは言ってもやはり通院治療では完治が期待できないケースもあり、この場合は手術を勧めます。以前は口の中から手術を行いましたが、現在は内視鏡による手術が主流で、鼻の穴からのみ手術するので、術後の頬の腫れもなく入院も短く、患者さんの負担が以前よりもかなり少なくなりました。
鼻中隔湾曲症
(びちゅうかくわんきょくしょう)
鼻中隔とは左右の鼻腔の間にある、かなり大きな仕切りの板のことで、骨(一部は軟骨)で出来ています。外見上の鼻すじのことではありません。これが極端に曲がっていると、鼻呼吸が苦しくなるし、副鼻腔炎をおこした場合に治り難くなります。
慢性扁桃炎
(まんせいへんとうえん)
扁桃の大きさには関係なく、咽頭の違和感がつづき、風邪の度に強い咽頭痛や高熱をともない、また筋肉痛・関節痛をおこしやすくなります。薬物による完治は困難です。
扁桃肥大
(へんとうひだい)
咽頭の扁桃が極度に大きい状態をいいます。炎症とは関係なく、大きさの故に物理的な障害をおこします。つまり嚥下障害と呼吸障害で、とくに呼吸の障害が問題になります。年齢を 問わず大きな“いびき”をかき、睡眠時無呼吸をおこすことも稀ではありません。小児の場合は、深い睡眠に入れないことによる身体の発育の遅れ、肋骨の変形などがよく見られます。
唾石
(だせき)
液の通る管というものには、すべからく結石ができる可能性があり、唾液腺の中や管に生ずるものが唾石です。食事のときに痛み・腫れが強くなるのが特徴です。耳の下の耳下腺にも、顎の下の顎下腺にも出来ますが、頻度は顎下腺のほうがはるかに多く、簡単に口内から摘出できる場合と、顎の下を切開して取らねばならない場合があります。
食道異物
(しょくどういぶつ)
食道には狭いところが三か所あり、飲み込んだものによっては引っかかってしまうことがあります。たとえば幼児が硬貨を、大人が入れ歯を、あるいは魚の硬い骨を誤って飲み込んで引っかかり、胃に落ちなくなった状態で、口から道具を入れて摘出します。放置すると以後の食事が不可能であるばかりでなく重大な結果になることがあります。
尾関耳鼻咽喉科医院
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